サボテンと多肉植物

多肉植物とは、本体や葉、地下茎などが肥大して貯水機能が発達した植物の総称です。
サボテンもその特徴から多肉植物に属しますが、サボテン科だけでも3000種に達する大グループのため独立して扱うようになりました。
サボテンの語源は、南蛮人がウチワサボテンの樹液をシャボン(石鹸)として使っていたことから、石鹸のようなものという意味で石鹸体(さぼんてい)と呼んだのが始まりと言われています。

サボテンに「トゲが生えている」理由とは?

サボテンの最大の特徴として挙げられるのはトゲトゲした見た目です。
一つ目は、トゲが生えている事によって他の「動物から食べられないようにする効果」があります。サボテンは元々葉っぱのある植物でしたが、天敵から身を守るために葉が変形して現在のようなトゲになったとされています。
二つ目は、トゲには砂漠での「強烈な日差しを和らげる効果」があります。サボテンはトゲがあるおかげで表面の温度を下げていますが、トゲを全て抜くと体表面の温度が10度も上がってしまいます。
三つ目は、植物が、生きていく為に必要な「水分をトゲから補給して」います。雨が少ししか降らない砂漠では根から水分を吸収するのは難しいため、「トゲを使って空気中の水分を取り込んで」いるのです。

サボテンが「砂漠でなぜ枯れないのか?」

サボテンは砂漠で水分が少ない過酷な環境でも枯れずに生きていけるのは「サボテンの身体に特徴」があるからです。普通の植物は根から水分を常に吸い取っていますが、サボテンは雨の少ない砂漠で根っこから水分を吸い続けるのが難しい環境に生息しています。そのため、サボテンには「茎の中で長期間水分を貯めこむ機能」を揃えています。たまにしか降らない雨を十分に吸い取って、「しばらくの間は茎に溜め込んだ水分で生きていく」わけです。※サボテンを切ると沢山の水分が出てきます。

代表的なサボテンのご紹介

金鯱(キンシャチ)に最適な温室

この温室では金鯱がたくさん見られます。この多くは太田辰雄氏が戦時中、軍医として出征する前に種子をまいて育てたものと言われています。どれも同じように見えますが、よく見ると様々な品種があります。棘(トゲ)に特徴がある狂棘金鯱や白棘金鯱、棘のない無棘金鯱、斑入りの金鯱など。
これも貴重なサボテンです。

天皇家に献上された金鯱

北棟には天皇家に献上された大きな金鯱があります。
由来には二説あり、昭和天皇が皇太子に即位された立大使の礼(大正5年)でメキシコ在留邦人が献上した説。
二つ目は昭和5年にメキシコ政府が献上した説。何れにしても、現在残っているのは京都府立植物園とここにあるだけで、貴重なサボテンです。

幻の花 青の竜舌蘭(リュウゼツラン)

この花は開花するまで50年から80年かかることから、センチュリー・プラントと言われます。この仲間には葉を取り除き株の中身をえぐって壺状にすることで、糖分を含んだ液体が溜まるものがあります。メキシコの原住民は、これを皮袋に入れて軒先に吊るし、発行させてテキーラを作ったそうです。

サボテンへの進化?杢(モク)キリン

杢キリンの仲間は、一般の樹木からサボテンに進化する途中にある植物と言われ、様々なサボテンを接ぐ際の台木としても重宝されています。やや温度に敏感なことから、この温室では杢キリンの葉が落葉すると温度が下がりすぎているという目安にしています。